地方の学習塾の今後

大学入試で英語4技能が試されると叫ばれたとき、東南アジアの英語圏の人とネットでつながる方式の英会話が流行った。しかし、東南アジアの人を雇用する人件費の高騰や、4技能改革自体が不調(現場教員や採点者に負担がかかる。本試験前の1ヶ月の間に何十万人の英文を採点するなど物理的に難しい。)に終わると、4技能は叫ばれなくなった。

コロナ流行のとき、オンラインにこぞって移行した塾は「オンラインが最良だ」とのたまわった。大学入試後期試験や公立高校入試を前に、多くの学習塾は受験生を放置した。我々は批判覚悟で対面を継続した。教育が不要不急だとは思わないからだ。外野が何を言ってきても、戦うつもりだった。

すぐに対面維持を決め、講師の勤務シフトを変えて分散授業をした。競合塾の経営者が、うちからコロナが出るのを望んでいるような発言もネット上にあった。人間が恐怖しているのはウイルスではない、人間であった。私はそう思っている。

私は役員だから朝から晩まで働いても給与は変わらない。同じ役員報酬でずっと授業をしたが、社員の人件費はものすごいかかり、毎月100万単位の赤字だった。あと半年コロナ、コロナだったら当塾はおそらく潰れていた。だから2024年の今、「新型コロナウイルス拡大防止のため・・・」と今も自動アナウンスをしたり、営業時間を縮小したままにするところは、コロナと言う大義名分で経費をケチっているとしか思えない。

AIだとか映像だとかは、コロナ後の塾再編で幅を利かせてきている。「個人個人にあわせた、とか有名プロ講師云々」と聞こえはいいが、人件費抑制のため、もしくは高校生を満足に指導する人材が不足していてそれを補うために導入されたものであろう。映像の版権を買ってきて、映像を見せるだけで月何万円払わせるなどは私にはできない。

私は自分の腕で食っている自負がある。誰かが作ったマニュアルや、誰かが引いたレールは私には合わない。

地方の塾は、高校入試だけでは食えなくなってきている。小学生の中学受験も都市部に比べパイは少なく、高校入試や中学校の定期テストは簡単になってきている。そしてスタサポやYoutubeなどで格安もしくは無料でよい授業が見られるようにもなった。これでは段々と映像の塾・予備校も衰退する。

ではどのような塾が生き残るのだろう?需要にこたえることができるのだろう?

自分の考えで動いて、決める、これは前提だ。昔のようにみんなで同じ方向を見ていればいい成功を目指せる状況では、もはやない。

競合塾の多くが映像やAIに行くが、私は「高校から先、そこを自分で、映像やAIではなく、自分の知力と体で教えること」に塾存続の運命をかけた。だからこういう運営をしている。

 

 

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