2024年度公立高校入試問題講評

 

実際に塾長が解いてみた講評です。ご覧ください。

 

数学講評

第一問は例年通りです。確実に得点したいところ。小問7の大小問題はすべて正の数なので二乗すればすぐ分かるはず。

第二問小問1に確率が復活。ただしサイコロ2つの36事象数え上げれば確実に取れるもの。小問2,3は中3の円周角・中心角と二次関数で、図に角度や情報を書けば導ける。(偏差値50以下だと小問3の(2)はきついかもしれない。グラフの左右対称性とDC=CAを上手く処理できるかどうか、y軸と点Cまで水平距離をxと置くと、2x=4-xで点Cのx座標が出る。)小問4は実験をすると石は2のn乗型の数列だと気づく、実験したもの勝ち。訓練不足、思考停止だと取れない。最上位層は既に階差数列まで疑う訓練をしていただろうが、そのレベルまでの出題ではない。

第三問はここ数年は確率と連動した問題でしたが、データの分析と記述がきました。しかし扱われている内容は典型のものです。かつて一次関数だけで重い問題を課された時代に比べると、乗り切るのが易しい大問になっています。偏差値55以上を狙う場合は完答したいところですが、大問2の方が満点を取りにくくなってきているように感じます。(ナンバー高校を狙う人はどちらも満点狙うべしというのは言うまでもありません。)

第四問は今年も円が問題でした。小問3の(2)はヘロンの公式が入っていると、途端に易しくなります。前半の長さや証明も、「平行」と「中点」というキーワードが与えられ、やることがすぐ見えるものでしたから簡単です。小問3の(1)はやはり相似な図形が絡みます。証明は合同ですが、こういう絡み手で相似が来ます。しかし平行線があり、相似は見やすく問題は難しくありません。今年は第4問は訓練している生徒は5分で完答します。小門3の(2)は本当に知識があるかないかで明暗が分かれるでしょう。先取りしている勢は早く解く。そうでない場合は早く切り上げて大問2や大問3の方に時間をまわす方が得策な生徒が多いのではないでしょうか。

塾長 秋山 作成

 

英語講評

第一問のリスニングは例年通りイラストと、会話の聞き取り問題でした。会話問題はいかに登場人物の交互の会話の中でキーとなる単語を拾うかが大事です。1回目で完全に聞き取る必要はなく、むしろ放送1回目は問いの確認(余裕があれば答えの絞り込み)をし、2回目の放送後に答えを出せれば(最悪絞れれば)よいので、あまりシビアになる必要はありません。小問4だけ実質的に英作文が求められていますが、偏差値50以上の高校を目指しているのなら、ちゃんと書けるレベルのものです。宮城はリスニングで差をつけてくるような英語ではありません。上位層は完答もしくは1問減点くらいでないといけません。

第二問の文法問題は時制の判別、be動詞を含む熟語(ただし明らかに問題設定が学生の生活に関わる会話文なので答えは推測可)、並びかえはthere is/are構文とSVCに関係代名詞の省略が絡んだ出題でした。be + delicious が見えたかどうかが鍵です。小問3として図の読み解きが出題されましたが、1分~3分で解ける簡単な図表問題です。全体を通して大問2は苦手な生徒は半分、進学校を狙うならば確実に満点を取って欲しいセクションです。

第三問は中学生の女子生徒が一人称で語る英文の読解でした。大して長くもなく、また例年の形式を踏襲しており、時系列並びかえ、適語補充、英文での応答など過去問で十分に対策をしてきたかで出来が大きく左右される問題でした。

第四問は2021年のようにキャラクターごとの意見文から主張や要素を抜く問題でした。図の人物は3人です。発言者が誰なのか、どこを見れば答えの英文があるのか見つける訓練が要求される(安定した)出題形式になっています。記号選択が半数以上をしめていますが、小問3のような自由な問題は英語な得意な人は解くべきですが、そうでない人はあまり悩まず記号問題などを落とさぬように切り抜けて欲しく思います。そして勝負は小問4の(1)、(2)です。ここが差がつくポイントです。該当箇所を英文から見つけ、問に対し減点されずいかに早く書くか練習してきた人は確実に取れるけれど、そうでない人は何かしら減点されます。だいたいここを見れば英語の力がわかるセクションと言えるでしょう。

第五問は条件英作文でした。設問自体が英語で、偏差値45以下の生徒はとっつきたくにくく感じるかもしれません。(その場合は余り気にせず、他の所で見直しする方が懸命です。)内容は、ランドセルの是非をそれらしく書けばよく、ある程度英語が得意な生徒からするとひねりのない簡単な問題に映ったのではないでしょうか。難関校を志望とする生徒には確実に取れるレベルの英作文問題でした。

塾長 秋山 作成

 

国語講評

大問の構成は昨年度の入試と変化し、大問3に小説がきて、大問4に論説文がくる形でした。大問数が6と多い感じがしますが、いかに早く大問2と大問6を終わらせるかが大事だと思います。

大問1は漢字の出題と、熟語の出題ですが、小問2は出題意図・解答要件を見て書かないといけません。小問3は書道の書き方の問題ですが、これは出題する意味があるのでしょうか。

大問2ですが、アンケートを読ませ、その後話し合いの文章を読み取らせるといった設問構成になっていました。大問2は読み取れば答えが出せるようになっています。しかし模試や過去問で練習をしないと、差がつきます。これは点だけでなく、解答スピードという点においてです。早く解き、違うところに時間をまわすのがこのセクションの戦い方です。

大問3および大問4は宮城ではまだ1つの大問に付き1つの出典だけの構成となっており、過去問の分析と、同様の形式を取る他県の問題を解くことで実力を養うのが高得点の近道です。○○字で抜き出せ、○○字以内で書けは同じようでまったく解き方がが違います。抜き出せは傍線部付近にない場合、ある場合があります。○○文字以内で書けは傍線部付近に解答根拠があるときが多いですが、その分文字数を考え表現を加工する必要があります。また、重複表現からキーワードや、心情を察して50字前後の文にまとめる出題は対策をしている人は7割以上の得点をするでしょうが、国語を受験教科として舐めている人は、解答用紙のマス目をみただけで手が出せないと判断し書かない人が多いのではないでしょうか。ここは訓練次第で点が取れるところです。対策をちゃんとさせてください。

大問5は2つの出典からなる古典の問題でした。現代仮名遣い、常識的な文法は是非正解したいところです。小問3、4は正答率が分かれるでしょう。というのも純粋な古典の文章と言うより、宮城は補足で一部現代語訳があり、そこをうまく読み取ったり、加工変形して解答を作れるようになっています。ここは練習で乗り切れます。(本当は古典が好きなのが望ましい。高校に入り苦労します。)

大問6はグラフから情報を読み取り書く、作文でした。身近なスマホやテレビが上位のグラフでかなり書きやすい内容となっていました。ここも早く書いて他に時間をまわすセクションの問題でした。

塾長 秋山 作成

 

理科講評

大問1は「生物」、「物理」、「地学」の小問でした。どれも基本的な問題であり、上位校の生徒は全問正解してほしい問題です。漢字が書けない場合は、ひらがなでもいいので基本用語は頭に入れましょう。ここは定期テストレベルの得点源となる問題ばかり出ています。

大問2は珍しく「天体」に丸々一問割いた出題でした。小問4(1)、(2)ともにとっつきにくかった生徒が多かったのではないでしょうか。小問3までは定期テストで出題される典型題で得点しないといけません。

大問3は「化学」の中和や溶解度に関する出題でした。グラフが珍しく不規則な1次関数になっており、ちゃんと問題の設定をみないといけません。中和反応式はイオンの価数を覚えている人や化学反応式自体を覚えている人は解けます。溶解度の計算問題も偏差値55以上の高校を受ける対策をしてきたならば、見たことがある問題のはずです。上位校では差がつきません。

大問4は「遺伝」に関する出題でした。小問1の被子植物の名前も一般的な植物から出題、小問3の(2)の記述以外は選択肢だけの構成で早く解き切ることができるセクションでした。ここではあまり差がつかないでしょう。

大問5は「電気分野」に関する出題でした。1~2までは基本的な問題であり必答です。小問3の(1)、(2)の記述・計算問題はひねりがありません。(3)は条件を変えてきて問題がリセットされた上、日本語の読み取りも必要な問題となっています。ここは90点狙いでいい生徒は解けなくても大丈夫でしょう。(ナンバー高校を上位で受かりたい人は、是非攻略すべきです。)

 

塾長 秋山 作成

 

社会講評

大問1は新紙幣発行という時事問題に絡めた出題でしたが、中身はいたって普通の公民の経済分野と歴史の融合題です。福沢諭吉や渋沢栄一は名前こそ出ていますが、小門3の(1)は消去方でも分かるし、(2)は教科書に太文字記載されている易しい歴史用語が答えにすぎません。

大問2は地理で南アジアからの出題でした。小門2の問題は図を見るだけで解けるし、小問3のインドの経年変化を図表で読み取る問題はだいたい方向性は分かるはずなので(図ないし、図を読まなくても一般常識で)しっかりキーワードを使って解答して欲しいものです。

大問3は日本の対外貿易史からの出題でした。農業史、文化史、貿易史など分野ごとに学習済みの学生は少ないと思われます。小門2などは、キーとなる単語からだいたいの年代が分からないと正確な答えがでません。小問3は江戸禁教政策の時系列問題ですが、選択肢の時期のスパンが短く、正確な年号を覚えていない人は解けないかもしれません。(選択肢から常識的に2つは順番が分かるので、上手く乗り切れた人もいたのではないでしょうか。)

大問4は公民で「消費生活」をテーマとする設問でした。3までは上位校では正解が必須です。4は資料C~Eを参考にする必要があり、何の情報を入れるのが正解か解答を作成するのに時間がかかったと思われますが、図は目の前にあるのだから、部分点でもいいから点をもぎ取るべきものでした。

大問5は地理で東北地方からの出題でした。宮城の隣県の日本海側、内陸、太平洋側1の気温と降水量のグラフの問題は、他地方のものではなく身近な地域のものでしたから何となくでも解けた人が多いのではないでしょうか。(上位校では理論を基に確実に正解してほしい問題です。)それ以外の選択の設問も小問4までは比較的易しいです。小問5の記述問題は、震災復興と近年高速道路網が太平洋と日本海の横方向へつながりを持たせていることを上手く記述できれば良い問題ですが、意外と書くのは難しかったのではないでしょうか。部分点でもいいから欲しいものです。

大問6は公民の社会保障に関する設問でした。ここは普段から少子高齢化を実感している学生にとっては解きやすいところであったと思います。選択問題も常識問題のみです。

全体として、選択問題は易しい問題が多かった印象です。一方で記述問題は難しかったと思われます。宮城県の社会の記述は資料からわかることを不足なく書く「国語力(要約力)」が必要です。国語を舐めてはいけません。

塾長 秋山 作成

 

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