2023年度県立高校入試問題講評

数学講評

第一問は例年通りですが、箱ひげ図が小問8で問われました。(中学生範囲内で解けるよう奇数設定における箱ひげ図問題で四分位範囲など用語の理解が必要な問題でした。)

第二問の小問1は対称性のある図形を分割する(対称性や120度を見たら補助線を引く訓練が重要ですね、やはり。)と有名角の直角三角形が出てきて三角形を2倍することで大きい四角形の面積を出し、そこから3分の1円の面積を引く問題です。偏差値50以上の高校を狙う場合は是非解いて欲しい問題です。小問2,3は2次関数と比率の典型題で期末試験レベルの問題でした。小問4は数え上げてでも誰しも(1)は解きたいところです。(2)は数字が左右に並ぶ中で2列目が初項2公差3の等差数列になっていることを気付けば解けますが、規則性の問題を高校の等差数列として解けるよう指導されている生徒は周りと差がつく得点源となる問題でした。

第三問は確率と連動した問題ですが、共通テスト数学I+Aのような会話型の問題で読み解く力と図形の性質の理解が同時に問われる問題であり、数学が苦手な生徒はおそらくあまり得点ができなかったと思われます。しかし扱われている確率は高々16通りしかなく、図も与えられていることから、最悪の場合でも図のxy平面上で座標を打って実験すれば対処できる問題でした。とりあえず実験するという姿勢は今後難関大を目指す上では必須の能力です。どれだけ食い下がれるか試されているような問題でした。

第四問は円が絡まない等脚台形の問題でした。小問3の(2)以外は難しくありません。典型的な平行線が絡んだ相似証明、相似比の利用の問題が小問1、2、小問3の(1)は等脚台形があったらとりあえず垂線を2本打って長方形と2つの三角形に分離するという典型的な手法をマスターしていれば(私は常に垂線を引くよう指導しています。)すぐに答えが見える問題でした。小問3の(2)は最上位校を目指す場合でも捨てて構いません。最上位校でも上位合格したい生徒は座標設定で5分くらいかけて計算と格闘すれば答えが出ます。最上位の生徒はこういう訓練もしていて欲しく思います。(友辰塾特別学習館の一高・二高・三高講座ではしています。)                   塾長 秋山 作成

 

英語講評

第一問のリスニングは例年通りイラストと、会話の聞き取り問題でした。会話問題はいかに登場人物の交互の会話の中でキーとなる単語を拾うかが大事です。1回目で完全に聞き取る必要はなく、むしろ放送1回目は問いの確認(余裕があれば答えの絞り込み)をし、2回目の放送後に答えを出せれば(最悪絞れれば)よいので、あまりシビアになる必要はありません。

第二問の文法、単語、並びかえ問題は例年通り1,2年生の疑問文なのかそれとも3年生で習った関接疑問文なのか判別できるようにすること、それと前後の短い会話文の内容から逆算して答えを導く訓練が必須です。またbe sure that節やwait for など定期テストでも出たであろう表現が狙われており、英語が苦手な生徒でも訓練次第で半分、進学校を狙うならば確実に満点を取って欲しいセクションでした。

第三問は高1生の少年が一人称で語る英文の読解でした。大して長くもなく、指示語の内容把握、時系列並びかえ、適語補充、英文での応答など過去問で十分に対策をしてきたかで出来が大きく左右される問題でした。

第四問は2021年のようにキャラクターごとの意見文から主張や要素を抜く問題でした。小問1の円グラフの問題は最初の問題と言うこともあり、やはり一番上の先生の話題提示文の中に解答の根拠があります。小問2のような具体的内容を探す問題ですが宮城県はひねりがなく、直前や直後にあり容易に対策が可能です。また小問3の英文での応答は第三問と同じく過去問で英語を本文抜き出し+時制や主語、所有格の変形(志望校が高くなければ減点覚悟で本文のままで抜き出して部分点狙いも有り。)の訓練をするのが有効です。将来難関大を目指す生徒は小問4から本文の大体の内容は逆算できるし、単語もeffectiveくらいしか難しい単語がないので間違っても1問、できれば全部記号問題は当たりで切り抜けて欲しいレベルの問題でした。

第五問は条件英作文でしたが小問1は後ろの会話文から年齢を聞くことが読み取れれば容易な問題です。小問2はwhich oneがなにをさすのか分からない人や英作文を訓練していない人は点が入らないでしょう。設定自体は難しくないので偏差値50以上の志望校の場合は書くべきです。難関校を志望とする生徒には確実に取れるレベルの設定下での英作文問題でした。                          塾長 秋山 作成

 

国語講評

大問の構成は昨年度の入試と同様の形式でした。数年前から大学共通テストを意識した問題作成に変化しつつありましたが、今年度は特に文章を2つ読み比べさせるといった点などが目新しい特徴ではないでしょうか。

大問1は例年同様漢字の出題と、数人の話し合いの対話文を読ませたうえで各自の発言の内容を問うような設問が出題されました。特に難しくはありませんが、過去問でしか対策できないような問題(模試などではあまり出題されていない)ため、取りこぼしてしまった受験生も少なからずいるのではないでしょうか。

大問2(小説文)ですが、上位校で合否を分けるのは問2の記述問題でしょう。問2は場面状況から確実に正解することが上位校の合格には必要です。問5は上位校の受験生でもなかなか完答するのは難しかったのではないでしょうか。それ以外の設問は特に難しくありません。

大問3(説明文)ですが、これが新傾向の設問でした。2人の異なる筆者の文章を読ませ、2つの文章の共通点を読み取らせるといった設問構成になっていました。それぞれの文章は短く読みやすかったのですが、2つの文章を読み比べさせる問題構成に戸惑った受験生が多かったのではないでしょうか。

大問4は昨年に引き続き漢文が出題されましたが、今年は漢詩からの出題となりました。設問はどれも基礎的な設問となっており、上位校では1つのミスもできないと思われます。15字の記述問題もありましたが、それほど難しくはないでしょう。

大問5は作文でした。昨年よりもかなり書きやすい内容となっていました。上位校では差がつかないでしょう。

全体として、国語の平均点は60点前後になると思われます。上位校では記述問題で部分点を稼ぎながら、ミスをいかに少なくするかが合否を決めるでしょう。

友辰予備校校舎長 阿部 作成

 

理科講評

大問1は「動物」、「天気」、「原子・電子」の小問集となっていた。どれも基本的な問題であり、上位校の生徒は全問正解してほしい問題だった。上位校を受験した生徒で、3(2)②や3(4)の記述問題などが難しかったと思う場合は、やや勉強不足だといえるでしょう。問題演習するなかで一度は見たことがあるはずです。

大問2は「生物」の細胞分裂に関する出題だった。どれも基本的な問題であり、上位校では差がつかないだろう。5の記述問題は頻出問題であり、確実に正解してほしい問題です。

大問3は「大地」の地層に関する出題だった。どれも一度は解いたことのある頻出問題ではあるが、4(1)(2)の出来が上位校では合否を分けるだろう。焦らず丁寧に図を読み取れたかどうかがポイントです。

大問4は「化学変化」に関する出題だった。化学変化の知識から計算問題、またグラフ問題まで幅広い出題だった。3(3)はやや難だった。全体的に受験生が苦手とする設問であり、ここでミスなく正答できたかが合否を分けるだろう。

大問5は「運動とエネルギー」に関する出題だった。1~4までは基本的な問題であり、上位校では差がつかないだろう。5の記述問題も頻出問題ではあるが、うまく解答を作れたかどうかで差がつくだろう。

全体として、かなり易しかったと思われます。正直間違えやすい問題は2、3問しかなく、上位校ではほぼ差がつかないでしょう。来年度以降もこの傾向は続くと考えられますから、来年度の受験生はまずは、基本知識の定着をしっかり行い、頻出問題を繰り返す解く訓練をしてほしいと思います。

友辰予備校校舎長 阿部 作成

 

社会講評

問題構成は昨年度同様の形式となっています。

第1問は主に公民からの出題でした。全体としてかなり易しかったと思われます。

第2問は地理で東南アジアからの出題でした。2(1)でASEAN結成の歴史的背景に、ベトナム戦争が関わっていることを選択肢から選ばせる問題が出題されました。ヒントとして東南アジアからの出題であること、年代などが表に書かれており、消去法などで選択肢を選ぶことは可能でしたが、やや知識としては細かな部類となると思われます。4の記述問題は易しいと思われます。

第3問は古代から近世までの歴史からの出題でした。選択問題で難しいものはなかったですが、間違えるとすれば3の設問でしょうか。5の記述問題は難しかったと思われます。まず小作人とは何かの知識が必要で(意外に知らない受験生が多いのではないでしょうか)、「貨幣」や「商品作物」といった用語を適切に使いこなせている受験生は少ないと思われます。

第4問は公民で幅広い分野からの小問集のような設問でした。2、3、4(1)は上位校では正解が必須でしょう。5の記述問題は知識としての難しさはなかったですが、何を書けばよいかが分からず、解答を作成するのに時間がかかったと思われます。

第5問は地理で中部地方からの出題でした。1(1)の気温と降水量のグラフの問題は上位校では確実に正解してほしい問題でした。それ以外の選択の設問は易しかったです。3の記述問題は例年並みのレベルでしょう。第3・4問の記述が難しかったため、この問題を取りこぼすと差がつくでしょう。

第6問は歴史で平安から現代の文化に関する設問でした。4の記述問題は含めて全体的に易しかったです。受験生が間違えると1(2)でしょうか。

全体として、選択問題は易しい問題が多かった印象です。一方で記述問題は例年よりやや難しかったと思われます。(難しいというよりも、問題による難易度の差が大きかった印象)昨年度の講評でも書きましたが、上位校の受験生は安易な自己採点をしないように気を付けましょう。また来年度、上位校を受験したいと考えている生徒にアドバイスです。宮城県の社会の記述は資料からわかることを不足なく書ききるための国語力(要約力)が必要です。そのため、単なる用語の暗記だけではなく、どうしてそのような事態が起きたかなど、社会的な背景までを含めて学習するようにしましょう。

友辰予備校 校舎長 阿部

 

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